円空仏と仏師

円空仏と仏師

東京国立博物館140周年 特別展

展示されている円空仏(1)

展示されている円空仏(2)

円空と長間薬師寺

円空と高賀神社

円空仏と仏師

円空と千光寺

円空と栃尾観音堂

仏師とは

仏師の歴史(1)

仏師の歴史(2)

円空仏と仏師

東京国立博物館140周年 特別展について

東京国立博物館本館で「飛騨の円空-千光寺とその周辺の足跡」展が開かれています。

「特別展 飛騨の円空 千光寺とその周辺の足跡」について

東京国立博物館本館で「飛騨の円空-千光寺とその周辺の足跡」展が開かれています。円空は、江戸時代初期の僧侶で、諸国を歩き、修行をしながら、人々のために生涯にわたってたくさんの仏像をつくりました。その数なんと12万体とも言われ、今も5,000体以上が各地に残されています。今回の展覧会では、円空が度々訪れたという岐阜県高山市の千光寺やその周辺の寺や神社に残る“円空仏”をご紹介します。

展示会について

東京国立博物館本館で開かれている「飛騨の円空-千光寺とその周辺の足跡」展では、円空がしばらく滞在していたと思われる岐阜県高山市の千光寺の所蔵する61体を中心に、高山市に残る約100体の円空仏が展示されています。同館では2006年と2008年に行った展覧会で円空仏を展示しましたが、円空仏だけで展覧会を構成するのは今回が初めてとの事です。

「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」の見所

円空仏のなかでも屈指の名作「両面宿儺坐像」ほか、秘仏「歓喜天立像」、地面に生えたままの立木に梯子をかけて彫ったという「金剛力士(仁王)立像 吽形」など初めて寺を出る円空仏も含まれています。

見所ポイント
千光寺の円空仏を一挙公開
「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」では、千光寺のほぼすべての円空仏61体を一挙に公開します。「円空仏の寺」として知られる飛騨・千光寺。数ある円空仏のなかでも屈指の名作が揃います。
秘仏「歓喜天立像」を特別開帳
秘仏「歓喜天立像」が特別に公開されます。千光寺でも7年に一度しか公開されない、貴重な仏像です。
飛騨の円空仏100体が一堂に紹介
高山市内の14の寺社が所蔵する100体を東京で初めて一堂に紹介します。現在知られている約5000体の円空仏のうち、1500体以上が岐阜県にありますが、飛騨高山には、とりわけ多彩な円空仏が残されています。
飛騨高山の森、上野に出現
展覧会の会場には、仏の形をした木が100本林立することになります。円空は、木を割り、鑿(のみ)で彫って像を作りました。その表面には漆や色を塗っていません。木目や節が見え、円空仏が「木」であることを強く印象付けます。飛騨高山の森が上野に出現することになるのです。

円空について

飛騨では「エンクさま」と呼ばれて親しまれ、信仰の対象となっていました。円空は寛永9年(1632)美濃に生まれ、僧となって自らの一生に12万体の仏像を造る宿願をたて、諸国にその足跡を残しています。円空の生きた時代は、今よりもっと生きるのが大変な時代。雨が降らない、夏なのに日が照らないという日が続くと、農作物ができない。また、火事や病気もすぐに広まるなど。そんな世の中で、円空は、人々に豊かな実りや災いのない暮らしを神様、仏様に祈りたいと、さまざまなお像をつくっては、寺や神社、集落の祠、また個人の家にも配り歩いたそうです。しかし、その伝記については不明なことが多く、『飛州志』にも「姓氏、或ハ何国ノ産、何レノ宗派ト云フコトヲ不知」とあるように謎の人物でした。

円空仏の特徴

円空仏の多くは伐採した木を断ち割り丸彫りしたもので、鑿(のみ)の跡が残り、表面には何も塗られていません。ナタバツリと呼ばれるように、鉈(なた)で割った木片に目や鼻を刻み込んだだけの即興的なものが多く、円空の彫刻は、初めの頃古典的な形が多かったのですが、後に円空独特の作風を完成させました。2メートルを超す大作から5センチほどのものまで、木目や節が見える円空仏が林立する様子は飛騨の森が出現したかのようになるでしょう。この貴重な機会に円空仏の造形の面白さを「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」で堪能してみては如何でしょうか。

展示されている仏像

円空のお像を眺めていると、人々が触れたと思われる跡がみられます。人々は、円空作ったお像を、寺から借りて、病人の枕元において、回復を祈ったり、時には、子供の遊び道具にもなったそうなんです。ここでは「飛騨の円空-千光寺とその周辺の足跡-」展で展示されている円空の仏像についてご案内します。

円空仏「面宿儺像」
円空の晩年作で屈指の傑作とされていて、ポスターなどに載っているお像です。千光寺を開山したともいわれる両面宿儺は、日本書紀によると、「体は一つであるが、顔が前後にあり手足が4本ずつある力持ちであった。4本の手で弓矢や剣を同時に用いて、皇命に隨わなかったため征伐された」という意味のことが記されているようです。しかし飛騨人にとっては飛騨の国を統治していた豪族であったとして、なじみ深い存在となっています。円空は、これの造型化に当たり独特の感覚と創造性をもって、後ろにあったという顔や手を前に並べ、持っている弓矢を斧にかえました。顔の表情も善悪両面を表しています。善を中心にしているところから、飛騨人の立場になって造ったのではないかと想像されます。
円空仏「金剛力士(仁王)立像 吽形」
円空の優秀作として万人に賞賛され、円空展にはしばしば出品されるので、全国的に有名になっているお像です。金剛神は又、執金剛神・金剛手・金剛力士などともいいます。手に金剛杵(こんごうしょ)を執って仏法を守る守護神のことであす。当時、千光寺の境内にのびる栓の木を地面にはえたままの形で彫ったものです。金剛杵はもと印度の兵器ですが、密宗ではこれをかりて「堅利の智を以て煩悩を断じ悪魔を伏す」といい、金剛神はもとより勇ましい憤怒(ふんぬ)の像です。この金剛神の気魄を受けて作った円空の力作です。 
円空仏「不動明王および二童子立像」 
円空仏は縦に割った材木の形をそのまま生かした作品が多く、量産できるパターンを決めていたことが分かります。左に制多迦童子(せいたかどうじ)、右に矜羯羅童子像(こんがらどうじぞう)を従えています。二人の表情がかなり異なっているのが面白いところです。それぞれ性悪と小心を表しているとのことですが、なかなか良いお顔をしています。この像は丸太を縦に二つに割って、片方に不動明王を彫り、もう片方をさらに二つに割って童子にしています。
円空仏「賓頭盧尊者坐像」
「賓頭盧尊者坐像」は円空の自刻像ともいわれています。頭や身体がテカテカと艶光りしており、円空さんにあやかろうと多くの民がなで回していますお像です。撫で仏とも呼ばれる賓頭盧です。口元の端が上げ気味で微笑んでいるように見えます。賓頭盧尊者は釈迦の弟子の一人で、日本では「おびんずるさま」と呼ばれ、撫でると厄病除けの功徳のある撫で仏として親しまれています。あちこち触られて表面がぴかぴかに光り、優しげな表情がさらに増しています。背面は鉋がかけられたように平滑の檜のようで、柱などの余った寺の建築部材が用いられているようです。
円空仏「歓喜天立像」
お像自体が秘仏であり、千光寺に祀られ ているこの歓喜天立像も7年に一度しか開帳されない秘仏です。今回展示されていたのは、もちろん実物で、寺で開帳される時も厨子から出されるとはなく、この特別展のためだけの、とても貴重なお像です。歓喜天は、ゾウの頭に男女の身体の二尊が抱き合う姿を現しており、印度密教の教えに従っている。この像を本尊とする修法は秘密にしないと効果が現れません。また、円空が造った歓喜天立像は、愛知県の荒子観音寺と関市にある高賀神社にも同様の像が祀ってあります。
円空仏「三十三観音立像」
村人の信仰の中にあった仏像です。4つに割った材木の角の部分を合掌した手の形に見立てています。目と眉は横線を入れただけの簡単なつくりです。村人が病気になった時、お寺から借り受け、後で返していたそうで、2体が戻らないままになって、現在は31体が残っています。材木のような高さ2mの神像、大きな木の瘤をそのまま残した仁王像から高さ5cmくらいの小さな如来像まで、さまざまな姿形ですが、どれも確かな造形性があり、ぐいぐい彫り上げていく勢いが感じられます。展示物を照らすライトの具合もちょうど良く、作品をくっきりと浮かび上がらせています。
円空仏「如意輪観音菩薩坐像」 
鑿の跡が比較的に滑らかなので、若い頃の作品と思われるとのことです。片膝を立て、手を頬に当てた優しげなお顔の観音様です。小指の先も少し反らせて表情を持たせています。
円空仏立木仁王像
仏像製を作るために切り出した木材を彫ったのではなく、自然に生えていた木を立ったまま刻んだといわれる珍しいものです。立木にはしごをかけて仁王像を彫る円空の姿は「近世畸人伝」の中でも挿し絵つきで紹介されています。その後この立木彫りの仁王像は、しばらくそのまままの状態で立っていたともいわれています。仁王像は、円空の作としては例外的で丸彫り一木彫成の量感のある作品です。仁王像は欠失が少なく、髻は逆上し、口角上がり、牙は2つとも下向しています。眼も大きくふくらみ、眼尻は切れ上がっています。

円空仏の感想

「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」のチラシには、「あなたの知らない円空仏にあえる」と大きく書かれていますが、まさにその通りかもしれません。これまでの円空仏のイメージがすごく広がると思います。日本人は昔から、木々にも神仏が宿ると考えてきました。円空仏を観ているとそれが形になって現れているように思えますので、是非皆様にも円空仏に会いに行って頂きたいと思います。

「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」案内

交通
仏像彫刻のすゝめ